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COLUMN

不妊症の主な原因について

不妊症は「女性側」「男性側」「両方」に原因がある場合があります。女性側の原因としては排卵因子や卵管因子、子宮因子、ピックアップ障害、受精障害など。男性側の原因としては造精機能障害、精路通過障害(閉塞性無精子症)、性機能障害などです。このコラムでは原因が明らかな不妊原因について詳しく解説します。

1. 女性側の原因①
-排卵因子(排卵障害)
-子宮因子
-卵管因子(卵管閉塞・卵管狭窄)
-ピックアップ障害
-受精障害
-着床障害
2. 男性側の原因①(造精機能障害)
-精子無力症
-乏精子症
-無精子症
3. 男性側の原因②
-閉塞性無精子症
-性機能障害
-精索静脈瘤
-先天性精管欠損
-膿精液症
-逆行性射精
4. まとめ

 

■女性側の原因

□排卵障害

排卵がまったくない「無月経」や月経周期が乱れている「生理不順」など、排卵が規則正しくおこなわれない状態を「排卵障害」といいます。排卵がうまくいかなければ妊娠はできません。

排卵障害の原因は大きく分けて、内分泌性のものとストレス等によるものに分かれます。
① 内分泌性の原因としては、甲状腺など女性ホルモンを出す仕組みに影響を与える病気や、ホルモンのバランス異常である「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」、本来であれば出産後に多く分泌されるホルモンであるプロラクチンの数値が高い状態の「高プロラクチン血症」などです。
② ストレス、ムリなダイエット、不規則な生活など。

全く月経がない場合は、まれに早発閉経(早発卵巣不全)の方もおられます。不妊治療できる期間が限られているので早発閉経の方は治療を急いだほうがよいでしょう。
排卵障害が不妊治療をされる場合は「排卵誘発」をおこないます。

□子宮因子

子宮の先天的な形態異常や子宮筋腫などにより、子宮内膜の血流が悪かったり、子宮内に過去の手術や炎症による癒着などがあると、それらが子宮内に到達した受精卵が育つことをさまたげるため妊娠することが難しくなります。子宮因子の方が不妊治療される場合は「体外受精」をおこないます。

□卵管閉塞・卵管狭窄

卵管は子宮の左右にひとつずつあり、長さは約10センチ、内径は狭いところで1ミリほどです。卵管が炎症などによって詰まっていると、妊娠はできません。
卵管炎や骨盤腹膜炎の原因となるクラミジア感染症にかかったことがある方は、ほとんど無症状のうちに卵管が詰まっていることもあります。重い月経痛がある女性の場合、子宮内膜症が潜在していることがありますが、この子宮内膜症によって卵管周囲の癒着が起こり、卵管が詰まっている場合があります。
卵管因子の方が不妊治療される場合は「体外受精」をおこないます。

□ピックアップ障害

卵巣から排卵された卵子を卵管の先端にある卵管采が拾い上げることをピックアップといいます。このキャッチがうまくいかないことを「ピックアップ障害」と呼んでいます。卵管に卵子が到達できなければ、精子と出合うことができず受精しません。人工授精で妊娠が成立しない場合はピックアップ障害の可能性があり、「体外受精」へステップアップします。

□受精障害

卵子と精子が出合っても、卵子を包む細胞の殻がかたかったり、精子に卵子の殻を破る力が不足していたりして受精できなこと、または、精子が卵子の中に入っても、卵子を活性化する因子を放出できないなど、なんらかの原因で受精現象がはじまらないことを「受精障害」といいます。
人工授精で妊娠が成立しない場合は受精障害の可能性があり、「体外受精」へステップアップします。この障害の場合、卵子温赤に直接精子を注入する「顕微授精」を行います。卵子が活性化しない場合、電気刺激やカルシウムイオノフォアという薬剤で卵子の活性化を誘発することもあります。

□着床障害

受精して子宮まで受精卵が移動してきたものの、子宮内膜が着床に適した状態にないなどで、着床が成立せず妊娠に至らない状態を「着床障害」といいます。着床そのものについて科学的にわかっていることは少なく、着床の障害よりも受精卵の発育自体の問題が大きいと当院では考えています。

■男性側の原因①(造精機能障害)

男性不妊の原因の約90%が造精機能障害です。精子をつくり出す機能自体に問題があり、精子をうまくつくれない状態です。造精機能障害には3つの種類があります。

□精子無力症

精子の数は正常にあるけれど、製造された精子の運動率が悪い症状を精子無力症といいます。その精子の状態により人工授精や顕微授精などの不妊治療を行ないます。

□乏精子症

精液の中に精子はいるけれど、数が少ないという症状を乏精子症といいます。精子の数が基準を少し下回る程度であれば、タイミング法なども可能。さらに精子の数が少ない場合、人工授精、体外受精、顕微授精等の不妊治療となります。

□無精子症

造精機能障害の中でも重い症状です。精液中に精子が一匹もいない状態ですが、精巣や精巣上体に精子が存在していれば、精子採取術(MESA、ReVSA、Conventional-TESE、micro-TESE)で採取し、顕微授精で治療することが出来ます。

■男性側の原因②

□閉塞性無精子症

作られた精子がペニスの先端まで通るための道が途中で詰まっていると、射精はできても精子は排出できず、妊娠に至りません。過去の炎症(精巣上体炎)などにより精管が詰まっている場合などがあります。

□性機能障害

勃起障害(ED)、膣内射精障害など、性交で射精できないものをいいます。一般的にはストレスや妊娠に向けての精神的なプレッシャーなどが原因と考えられていますが、糖尿病などの病気が原因のこともあります。

□精索静脈瘤

陰嚢内の温度が上がる等から精巣の発育不全などを発症し、精子形成に悪影響を与えます。

□先天性精管欠損

生まれつき精管がなく、精子が精巣内に閉じこめられた状態のことをいいます。

□膿精液症

前立腺や精嚢等の炎症により、精液中に白血球が増え、精子の運動率を低下させてる状態のことをいいます。

□逆行性射精

精液が尿道に送られずに、膀胱に逆行する状態のことをいいます。

■まとめ

不妊の原因は女性と男性、両方にあります。主な原因として、排卵因子や卵管因子、子宮因子、ピックアップ障害、受精障害などがあり、男性側には造精機能障害であることを解説しました。
しかし現在、女性側の検査をしても何も原因がみつからない「原因不明不妊」が49.3%といわれています。

現時点で不妊にお悩みの方や治療を検討されている方は「初診予約」から。男性不妊の精子採取術について、当院は保険適用が可能ですので、クリニックをお探しの方は「男性不妊外来」を電話予約にて承ります。

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